日本橋船宿あやかし話
江戸は中期。
浅草川に浮かぶ島、日本橋の箱崎。
ここは海水と川の水が入りまじり、先にある中洲で水の流れが三つに分かれるので、別名『別れの淵』ともいう。
川辺の小さな船宿若狭屋を切り盛りするお涼は、情に厚く面倒見の良い女将だ。
彼女の人柄からか、はたまた色々なモノが流れ集まる土地柄なのか、若狭屋にはちょっとさみしい魂がふらりとやって来る。
人間もあやかしも隔てなく――。
狐憑きと噂される花魁や川に消えた子供、息子を捜す山姥……。
あの世とこの世をつなぐ不思議な船宿で女将が出会う、愛おしくてあたたかい、八つのあやかし話。
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