赤い竪琴
その頃の私はいつも、どこか疲れていたし注意力散漫だった。
蓄積していた疲れは私を無気力にした――漠然とした不安のなかで日常を過ごす三十代のグラフィックデザイナー・入栄暁子は、祖母の遺品から発見された、夭折の詩人・寒川玄児の日記帳を手渡すため、その孫である古楽器職人に会いに行く。
この、無愛想な男との出会いは、沈んでいた暁子の心を強く揺り動かした。
彼は日記の礼にと、暁子に自作の竪琴を託すが。
二人とその祖父母を繋いだ‘絆’と‘謎’を鮮やかな筆致で描いた、静謐な恋愛小説。
/解説=日下三蔵
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