死の黙劇
月のない夜、華奢な欄干を破り、一台のタクシーが崖下に転落した。
運転手は一命を取り留めたが、乗客の男は即死する。
死者は顔いちめんに包帯を巻きつけていたものの、その下にはなぜか傷ひとつなかった。
さらに死者の所持品からは探偵砧順之介の名刺が発見されたが、その名刺を死者が所持することは論理上不可能だった――奇怪な謎が読者を魅了する表題作ほか、書籍未収録の犯人当て短編などを所収。
職業作家の道を選ばず、生涯に亙って緻密極まりない作品を執筆、巨匠鮎川哲也も畏敬した本格推理作家、山沢晴雄。
その作風を一望できる作品を精選して贈る〈山沢晴雄セレクション〉。
/【目次】砧最初の事件/死の黙劇/銀知恵の輪/金知恵の輪/見えない時間/ふしぎな死体/ロッカーの中の美人/密室の夜/京都発’あさしお7号’/編者解題=戸田和光
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