火環
昭和日本を支えた鉄都に火の如く渦巻く人間模様──煙が炎々と天を焦がす製鉄の町・北九州八幡。
複雑な家庭事情のなかで、祖父母や親戚たちの見守りを受け、焼跡に土筆のように逞しく育ったヒナ子は中学生に。
やがて映画と本に夢中になり、脚本家を夢見て上京をもくろむが……。
愛欲の煩悩やみがたく制裁で街を追われた仕立て屋の叔父、炭坑で地獄をみてきた堅固な人生観をもつ祖母ら、名もなき人たちが煩悶しながら戦後の激動を火のように生きる、前作『八幡炎炎記』に続く著者初の本格自伝的小説・完結編!
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