膨大な数の蔵書が溢れかえる、学者の父の書斎。<br />机の上に置かれた石は、時折私に語り掛けてきた。<br />肉体は魂の錘なんだよ。<br />肉体は天に昇りたがる魂を引き止めるための錘なんだ。<br />彼(石)から私は多くのことを学んだ。<br />幼稚園に馴染めず、通わなくなっても、知識は全てその石から得ることができた。<br />そんなある日、入院していた祖母が危篤だという知らせを受けると、石は自分も病院に連れていけと言った…。<br />