男は夜明けの空を見つめながら、震える手でウイスキーボトルをつかんだ。<br />金や名誉を患者の命よりも重んじる日本の医学会に嫌気がさし、世界を飛び回り、その腕を磨いてきた外科医…。<br />そんな彼のもとに、ある患者の母親から一通の手紙が届いた。<br />運命のいたずらなのか、その患者は…。<br />(本作は「黄昏ホテル」をテーマとする読み切り連作小説の一篇です)