大坂の炭問屋「辰巳屋」は、正徳のころ掛屋(大名相手の金融業)も営む豪商であった。<br />手代460人、家財200万両(現在の2000億円相当)という大企業に跡継ぎ問題が起こると、大坂じゅうの商家、江戸幕府や武士役人の世界、京の公家の世界をも巻き込む一大疑獄事件へと発展した。<br />大岡越前守の日記に登場する史実をもとに、奉公人・元助の目を通して事件のてんまつを描く。<br />