『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。<br />冬の大阪ミナミの町を舞台にして、若々しく勢いのある文体で、人情の機微がていねいに描かれていく。<br />天性の物語作者ならではの語り口に、最初から最後までグイグイと引き込まれるように読み進み、クライマックスでは深い感動が訪れる。<br />このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ささやかだけど暖かい灯をともす絶望と再生の物語。<br />この作品で第24回織田作之助賞を受賞している。<br />