虹色のゲート
愛華悠子は5月のある日、夫の海外赴任中にふたりの子どもを連れて引っ越しを決行した。
8歳の長男の幸助と5歳になる妹の奈津美は悠子の子どもだが、父親は違っていた。
3人が引っ越した先は、これまでと同じ市内の山間地。
動物園の真裏に建つ古アパートだった。
じきに悠子は、生活のために夜の仕事に出かけるが、それは同時に子どもたちにとって、退屈な長い夜のはじまりだった。
勝気な性格の妹とは対照的に、幸助は繊細で臆病。
現実を都合のいい妄想へとすり替えながら生きていた。
ある夜、兄妹は塀の隙間から動物園に入り込み、そこで一般展示から外された老オオカミを見つける。
孤独だったオオカミは、兄妹が与えるどんな食べ物も受け入れた。
それが面白くて、彼らは灯りが消えた動物園に通いはじめる。
だがそんなある夜、園内で兄妹は大きな地震に遭遇してしまう。
その体験は、動物園の動物たちや、体の不自由な老人を、この上ない不幸なものと決めつけていた幸助を成長させた。
そして幸助の身に、数か月前に目撃していた、ひき逃げ事故の犯人が迫る……。
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