崇拝する中宮定子を慰めるため「枕草子」では美しいことばかり描いた。<br />智識と才気で紫式部と反発し合った清少納言も、いまは山の庵でひとり九十を迎える。<br />自分の定命がわからないのも仏の慈悲。<br />心には華やかな宮中での日々が甦える。<br />九十歳の著者が九十歳の清少納言に乗り憑ってのモノローグ。<br />著者畢生の意欲作。<br />