頬に傷痕のあるお吉は押しも押されぬお狂言師。<br />お小人目付けの日向新吾と互いに想い合う仲だが、日向には縁談が持ち上がる。<br />弘化五年、赤坂御門外での事件から、将軍の寵愛をほしいままにしているお琴の様方をめぐる、女子同士の色模様という、面妖な企てが浮かび上がってくる。<br />はたしてお吉の想いは届くのか、そして大奥の謀議は明かされるのか。<br />文字通り我が身を削って書き継いだ著者渾身の遺作、抜群の面白さ。<br />