アイツにとって、俺は、うたかたのような存在でしかなかったのかもしれない。<br />でもあの時の幸福は、うたかたではなかったと思う――。<br />チンピラの焦がれる恋を描く表題作ほか、大阪で彼を待つタミ子や、障害を持つわたしの実らぬ思いなど、自分を「消え去る泡」のように感じてしまう5つの恋を描いた、切ない短編集。<br />