『東海道中膝栗毛』で一世を風靡(ふうび)するのはまだ先のこと。<br />若き日の十返舎一九(じっぺんしゃいっく)、与七郎は平穏な暮らしに満たされず、憑(つ)かれたように旅を繰り返す。<br />駿府から大坂、そして江戸へ。<br />稀代のユーモア作家が心に抱いた暗闇とは何だったのか。<br />意外な結末が深い感動を呼ぶ、直木賞作家渾身の長編小説。<br />