同じ言葉でも誰がどんな状況で語るかで、その意味は異なり、ときに正反対に受け取れる。<br />このラズノグラーシエ=異和こそがドストエフスーを読む鍵となる。<br />登場人物は対話の中で絶えず異和と不協和に晒され、そのダイナミズムが読む者を強烈に惹きつけるのだ。<br />批評家バフチンを起点に、しかし著者単独で小説内部に分け入り、文学的核心を精緻に照射する。<br />ドストエフスキー論史の転換点を成す衝撃的論考。<br />