雪深き東北の農村で、何百年も受け継がれている能。<br />その世界に魅せられた男がいた。<br />ところが、幽玄な舞台を見ているうちに、妻子を捨てることもできないが、愛人を捨てることもできないという現実が浮き彫りになっていく(表題作)。<br />時代が移り変わっても変わることない男女の情念を、独自の美意識で描く傑作選。<br />