庶民の「申楽」を、「能」という幽玄の域にまで高めた世阿弥。<br />金春禅竹はその娘婿となり、指導を受けて深く結びついていった。<br />そして義父の最期のとき、奥義が記された伝書が遺される。<br />世阿弥が伝えようとした秘法とは……表題作のほかに、能楽を大成した世阿弥を描く『風花』/闇を背負って禅の修行に明け暮れた一休宗純を描く『闇鴉』/わび茶の祖・村田珠光を描いた『詫茶』。<br />求道にかけた互いの宿命が交錯する連作歴史小説。<br />