文化の花咲く明治の世。<br />興隆を極める歌舞伎界の御曹司・人気役者の羽村市之助が、大事な舞台に穴を空け、失踪した。<br />市之助と馴染みの芸妓・志津香が苦衷の日を過ごす一方、志津香を育てた向島芸者・お良(りょう)の身辺には陰謀の影が迫っていた。<br />梨園と花柳界を舞台に描く、芸と愛と人情の物語。<br />(『花の堤』改題)