「電灯のスイッチを切って扉を後ろ手に閉めるまでの長い時間、僕は後ろを振り向かなかった。<br />一度も振り向かなかった」東京で友人と小さな翻訳事務所を経営する〈僕〉と、大学をやめ故郷の街で長い時間を過ごす〈鼠〉。<br />二人は痛みを抱えながらも、それぞれの儀式で青春に別れを告げる。<br />『風の歌を聴け』から3年後、ひとつの季節の終焉と始まりの予感。<br />「初期三部作」第二作。<br />