「羊のことよ」と彼女は言った。<br />「たくさんの羊と一頭の羊」「羊?」「そして冒険が始まるの」 故郷の街から姿を消した〈鼠〉から〈僕〉宛に、ある日突然手紙が届く。<br />同封されていた一枚の写真が、冒険の始まりだった。<br />『1973年のピンボール』から5年後、20代の最後に〈僕〉と〈鼠〉がたどり着いた場所は――。<br />野間文芸新人賞受賞の「初期三部作」第三作。<br />