婿入りの祝言(じゅうげん)の席上、妻に思い人のあることを知った大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。<br />逆上して間夫(まぶ)を斬り捨て、妻女を自害に至らしめた彼は、婚家のつけ狙うところとなり本所「あやめ横丁」に匿(かくま)われる。<br />だが堀に囲まれたこの町ときたら、場所も住人もみな何やら訳ありで……。<br />練達の筆がさえる長編時代小説。<br />(講談社文庫)