伊藤律(1913?1989)は戦中・戦後の共産党史で謎に包まれた存在でした。<br />曰く「生きているユダ」「革命を売る男」。<br />しかし、それらは日本共産党中央や、尾崎秀樹、松本清張などが貼った誤ったレッテルでした。<br />伊藤の次男の著者とその母は党籍を離れず活動を続けました。<br />それがどれほど苦しいことであったか、ある世代以上の人には容易に推察できるでしょう。<br />本書はイデオロギーと家族の絆が織りなすドラマなのです。<br />