裕福な貿易商の娘メラルは、父が横領罪で捕えられたことを契機に、法律家の長イスメトのもとで侍女をしていた。<br />しかし突然、聖裔であるルトフィーの屋敷の侍女に任ぜられる。<br />聖裔とは、エルトゥールル帝国の奉じるディン教において預言者の子孫にあたる聖人で、貴族以上の特権を与えられた存在だ。<br />だが言われた先を訪ねると、そこは古びれた民家。<br />そして聖裔だというその男は、容姿こそ美しいもののどこか偏屈で冷たかった。<br />