ブルームーン(六月十五日)。<br />妻は庭のブルームーンの咲いたのを三つ切って来て、書斎のサイドテーブルに活ける。<br />――山の上の家で、たんたんとした穏やかな日常。<br />子供も成長し、二人きりの老夫婦に、時はゆったりと流れてゆく。<br />晩年の庄野作品の豊かさと温もりを味わえる上質の文学。<br />