三村修治はこの世とあの世の狭間にいた。<br />修治は生前に積んだ善行「天国マイレージ」のおかげで、天国に行けるという。<br />人は笑うたびに0.1マイルが貯まる。<br />修治は生前、35万回も笑っていた。<br />妻の彩子は明るく、よく笑う女性だった。<br />だが息子の陽一郎はどうか? 腹を抱えて笑っている姿をみた記憶がない。<br />かくして修治は、天国行きを中止した。<br />すべてのマイルを使ってこの世に1週間だけ戻り、陽一郎を笑わせるために。<br />