色のあわい日常生活を、風のように流されていく郁子。<br />ふと郁子は日常をぬけ出して旅に出る。<br />いわば<風の絵本>のヒロインである。<br />彼女の目の前に次々とあらわれるのは、時間のひだにかくされていたいくつかの思い出――。<br />知的女性のゆれる心理を、実験的な手法と新鮮な矜情とで描いた秀作。<br />その他二編収録。<br />