若年のある時、在俗の名門武士が不明の動機で出家遁世した。<br />真言浄土の思想に動かされながら、同時代の捨て聖たちとは対照的な生きざまを辿り、詩歌を通じてしか、いっさいの思想を語らなかった――西行とは何ものであったか。<br />豊潤な感性を強靱な論理で見事に展開する西行論。<br />「僧形論」「武門論」「歌人論」の3部構成で西行の〈実像〉に鋭く迫る!