精神の危機を感じて外国滞在を決意した作家の父に、妻が同行する。<br />残された3人の兄弟妹の日常。<br />脳に障害を持った長男のイーヨーは’ある性的事件’に巻き込まれるが、女子大生の妹の機転でピンチを脱出、心の平穏が甦る。<br />家族の絆とはなんだろうか――。<br />〈妹〉の視点で綴られた「家としての日記」の顛末に、静謐なユーモアが漂う。<br />大江文学の深い祈り。<br />