文学に憧れて家業の魚屋を放り出して上京するが、生活できずに故郷の小田原へと逃げ帰る。<br />生家の海岸に近い物置小屋に住みこんで私娼窟へと通う、気ままながらの男女のしがらみを一種の哀感をもって描写、徳田秋声、宇野浩二に近づきを得、日本文学の一系譜を継承する。<br />老年になって若い女と結婚した「ふっつ・とみうら」、「徳田秋声の周囲」なども収録。<br />