友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。<br />地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。<br />障害児を出産した菜採子。<br />苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。<br />万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。<br />幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長篇。<br />谷崎賞受賞。<br />