闊達自在、卓抜典雅な文章で貫ぬかれた揺るぎない批評眼、飛翔する想像力。<br />世相を鋭く風刺し、幻想的世界と現実とが交錯する石川文学中期作品群7篇。<br />──かつて東北の鄙びた温泉場で、俄に腹痛におそわれた〈わたし〉が、土地に伝わる丸薬でそれを治した話に始まる「霊薬十二神丹」ほか、「落花」「近松」「今はむかし」「蜃気楼」「かくしごと」「狐の生肝」を収録。<br />