享保十一年、茅ヶ崎は大岡越前守の菩堤寺である浄見寺。<br />今は亡き夫の跡を継ぎ、桃は寺子屋で子どもたち相手にお師匠さまをしている。<br />そんなある日、酒匂川の氾濫で両親を亡くした春が寺子屋を訪ねてくる。<br />すでに大人の身でありながら、もう一度算術を学び直したいという。<br />はじめは戸惑う桃だったが、春の朴訥さと一生懸命さに次第に魅せられていく。<br />しかし、寺子屋で一番秀才な生意気娘・鈴が黙っているはずはなく……。<br />