「書くこと」の復活は可能なのだろうか。<br />危地に陥った文学者の自己再生を賭けた旅を描く長篇小説。<br />――その時私が満足をもって感じたのは、今まで現実だと信じていたものが、実はフィクションだということだった。<br />しかもそのフィクションは自分が望んだものではなく、お仕着せの規制だ、ということだった。<br />なぜ私はこんなに不自然な現状に、おどおどと義理立てして、留まろうとしていたのか。<br />旅に出よう。<br />──(本文より)