かつて政争に敗れた柏木靫負(ゆきえ)が、千利休の流れを汲む高名な茶人となって国に帰ってきた。<br />孤狼の心を胸に秘めた男は、家督を養子に譲り、山裾の庵で隠遁生活を送る。<br />今日も山月庵に客を招く。<br />派閥抗争の最中に喪った、妻の死の真実を知るために。<br />これぞ直木賞作家の真骨頂! 静かなる闘争の記。<br />