物書きになろうと三十歳を目前に江戸に出た十返舎一九は、『東海道中膝栗毛』で人気戯作者となり、原稿料だけで生活する本邦初の作家となる。<br />その旅路で蔦重に励まされ、写楽に嫉妬し、京伝を羨んだ。<br />人は何を面白がり何を笑うのか。<br />飄飄とした語り口の中に革命児の慧眼と心意気を見る、稀代の流行作家の人生絵巻。<br />