できれば僧衣をまとい、頭をすがすがしくした自分の、ちんまりした晩年の姿をそこに思い描いてみたりもする……。<br />女は北嵯峨に住みつこうとしている。<br />’「京まんだら」が瀬戸内さんの「源氏」だといっても誤りではなく、そして、これもまた男には書けない小説’(戸板康二氏)といわれる本篇は、祇園「竹乃家」30周年の秋に華麗に幕が下ろされる。<br />