羽野千夏は、民俗学の「口頭伝承」を研究する大学生。<br />’消えない記憶’に興味を持ち、認知症グループホーム「風の里」を訪れた。<br />出迎えたのは、ひと癖もふた癖もある老人たち。<br />なかでも「くノ一」と呼ばれる老女・ルリ子は、夕方になるとホームから脱走を図る強者。<br />ほとんど会話が成り立たないはずの彼女が発した「おろんくち」という言葉に、千夏は妙な引っ掛かりを覚え、相棒・大地と記憶の森に潜り込むが……!