1983年、目黒区蛇崩に一軒の店ができた。<br />店名『居酒屋ふじ』。<br />強烈なキャラクターの「おやじ」高橋俊男と小気味よい包丁の音で彼を支える料理担当の「お母さん」が二人で深夜まで営む。<br />そこに中日ドラゴンズの立浪和義が2000本安打を達成したバットが飾られている。<br />なぜ、ここに。<br />アルバイト帰りにふと訪れた「僕」はその謎を探ろうと、おやじの話に耳を傾けるのだが……。<br />なさそうで、ありそうな、路傍のおやじの物語。<br />