「それはメリー・ゴーラウンドによく似ている。<br />それは定まった 場所を定まった速度で巡回しているだけのことなのだ。<br />どこにも行かないし、降りることも乗りかえることもできない。<br />誰をも抜かないし、誰にも抜かれない」人生という回転木馬の上で、人は仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートをくりひろげる。<br />事実と小説とのあわいを絶妙にすくいとった、村上春樹の8つのスケッチ。<br />