八歳で四書五経をそらんじ、十四歳で十三経に達した俊英でありながら、普段は傍若無人で傲岸不遜な近藤重蔵。<br />五度にわたる蝦夷地巡見を終えた後は大坂弓奉行となって大塩平八郎の知己を得るなどするが、息子・富蔵ともどもの悪口乱行がたたり、ついに役なしの小普請入りとなる。<br />学識豊かな学者であり、あくなき探検家でもあった重蔵の、あまりにも意外なその後の道行きは。<br />そして生涯の宿敵となった女賊りよとの最後の対決は──。<br />