僕はささやきながら彼女の手を強く握りしめた。<br />それから2人はずっと手を離すことはなかった――この一文で絶筆し、42歳の生涯を閉じた「カモちゃん」こと鴨志田穣。<br />彼がアルコール依存症の治療前?がん闘病中に書いた未刊行原稿のすべて。<br />小説「焼き鳥屋修業」はベッドから1枚1枚編集者に原稿用紙を手渡した。<br />