「厄介」と煙たがらないでくれ。<br />好きでやってるわけじゃない。<br />江戸時代、兄もしくは甥の世話にっている者を「厄介」と呼び、幕府の役人は無神経にもそのまま公用語とした。<br />兄の都築孝蔵は六百五十石取りの旗本だが、親重代の借金があったため、弟の弥三郎を他家の養子にできる大金をつくる器量はない。<br />厄介という身分に辟易し、家を出た弥三郎が拓く波瀾万丈の凄絶な人生をえがく。<br />