激しく降り続ける雨の中、女が一人壬生村の新選組屯所に駈け込んだ。<br />好きで来たわけではない、と自棄ぎみにからむ芹沢鴨の女を、沖田総司や土方歳三は、強引に追い返そうとする。<br />その夜、屯所内では凄惨な斬り合いが――。<br />幕末から明治にかけて、時代の奔流に浮き沈みする男女の哀歓を描く、名作短編集。<br />