父が女性と暮らす家へ続く川べりの道を、ひとり歩く少年。<br />かつての仄暗い賑わいの記憶を底深く秘めて佇む町――帰るべき場所を持たない喪失感と哀しみを抱きながら、それでも前を向いて行きようとする人びとに、年齢に似合わぬ静謐なまなざしを著者は注ぎ続けた。<br />大人になる直前の老成。<br />どうしようもない人生への諦観。<br />あまりにも早熟な十八歳の才能を示す、最初期作品集。<br />