はっきり言って月也は「ぼんくら」である。<br />月也とは、北町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。<br />のほほんとした性格から、盗人を取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。<br />小者は捕り物の補助や身の回りの世話をする重要な存在で、小者がいなければ同心は能力の半分も発揮できない。<br />次の小物をどうやって手当てすればいいのか。<br />沙耶が思いついたのは、なんと自分だった!