泳いでいるとき、由羽来(ゆうら)の頭の中には音楽が流れている。<br />本当にやりたいことから目をそらすことができるから――。<br />娘に無理やり水泳を習わせ、母に暴力を振るう父。<br />それでも、交響曲「新世界より」を通じてつながっている父。<br />支配されている自分に気づくとともに、父を支配する負の感情にも目を向ける小六の少女。<br />息が苦しいと感じている人に伝えたい。<br />「いつも思ってたよ。<br />なんで、やりたいことをやらないのかなあって」