子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。<br />「俺は家では何も考えたくない男だ。<br />」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。<br />「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた表題作が第154回芥川賞受賞! 自由奔放な想像力で日常を異化する傑作短編集。<br />