自分を文学の世界に導いてくれた、兄のように慕う先輩作家が、原稿を郵便で出した帰途、トラックに轢かれ死んだ。<br />理不尽な死を前に混乱、自失する家族や友人たち。<br />青年は深い喪失感を抱えながら、社会との折り合いに惑い、生と死の意味を問い続ける。<br />三四歳で早世した山川方夫の人生を、彼の最も近くで生きた著者が小説に刻んだ鎮魂の書。<br />