慶応四年、六月二十八日。<br />北辰一刀流の開祖・千葉周作のもとで四天王のひとりと謳われた剣豪・森要蔵は、遠い会津の地にいた。<br />門弟や息子とともに会津藩に与し、白河城を奪還する戦に参陣するためだ。<br />時代の趨勢に抗い、新政府軍に立ち向かった男はいかにその生涯をまっとうしたのか。<br />ひとたび戦えば、「雷雲を纏った龍のよう」と称された要蔵。<br />平穏な日々を捨て、世の為人の為に生きる信念を貫いた愚直な男を描く、傑作歴史長編!