漫談家の昇仙にくどかれて夫婦になった福子は、妊娠できない体質だったうえに、女盛りに卵巣を摘出し、ますます夫からの情が薄れていく。<br />そして昇仙は妾をかこい、帰宅するのは月に数回。<br />だが、たまたま帰ったときに、脳溢血で倒れてしまう。<br />福子は、ひもかわまがいとなった昇仙の一物を口にふくみ、ようやく彼が亭主になったという実感を味わうーーという表題作ほか、純情にして猥褻な女と男を描いた傑作5篇。<br />