喧嘩と暴力が日常の沖仲仕の上にも、近代化の波は押し寄せる。<br />巨大資本による石炭積み込みの機械化が企てられ、若松港で玉井組の親方となった金五郎は、荷主側との交渉に身体をはった。<br />争議、脅迫、奸計、ヤクザとの生命をかけた抗争……。<br />時代の激流と沖仲仕の独特な信念がひきおこす事件の連続のなかに、明治の男と女の豪放で繊細な交情を鮮やかに定着させた、痛快無類、興趣抜群の自伝的長編。<br />